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本作は、「株式会社アークライト」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』シリーズ、およびZUN氏が権利を有する「東方project」の二次創作物です。
また、泥紳士様作「毒入りスープ」のネタバレを含みます。
プロローグ
ある日の昼下がり、博麗神社でのこと。
魔理沙 「おーい霊夢、香霖堂で面白そうな本見つけたぞ…って、咲夜と早苗もいるのか。」(ちゃぶ台を囲んで座る霊夢、咲夜、早苗を見て)
霊夢 「あー魔理沙、いらっしゃい。そこが空いてるわよ。」
早苗 「お邪魔してまーす。」
咲夜 「今ちょうどお茶が入ったところよ。」
魔理沙 「おーさんきゅ。」(脇に抱えた本をちゃぶ台の上に置きながら)
霊夢 「随分と分厚い本ね。何かの魔導書?」
魔理沙 「私も最初はそう思ったんだが、香霖によると、これはTRPGという遊びのルールブックらしい。魔力の類は全く込められていないんだとか。」
早苗 「ふむふむ…これは、クトゥルフ神話TRPG6版のやつですね。」
霊夢 「なにそれ。」
早苗 「私もそんなにやったことないんですけど、簡単に言うとサイコロを使ったごっこ遊びですね。外の世界を舞台としていて、人里にいるような特別な力を持たない人間になりきって、巻き込まれた事件を解決するんです。」
霊夢 「へぇ、少し面白そうね。」
咲夜 「TRPG…ね。確か以前お嬢様が興味をお持ちになって、KP(キーパー)のやり方を勉強させられたことがあるわ。」
早苗 「ちなみに、KPっていうのは審判役のことです。TRPGはKPとPL(プレイヤー)に分かれて遊ぶものなんですよ。」
魔理沙 「ふーん、咲夜と早苗は経験者なのか…。今この場で、この四人で遊ぶことはできるか?」
早苗 「できると思いますよ。」
咲夜 「それなら私がKPをやるから、早苗は経験者PLとして二人のサポートをお願い。あとはルール説明の間にダイスとキャラクターシート、お茶菓子を取ってきてくれるかしら。」(お茶を人数分の湯呑みに注ぎながら)
早苗 「はい、行ってきまーす!」
少女説明中…
咲夜 「…という感じね。二人とも分かったかしら。」
霊夢 「大体はね。とりあえすやってみましょう。」
魔理沙 「そうだな、わからない部分があったらその都度聞いても良いわけだし。」
早苗 「ただいま戻りましたー、って、ちょうど説明終わったみたいですね。」
霊夢 「ん?このサイコロは…」
早苗 「あぁ、霊夢さんの剛運だけで解決してしまうと遊びにならないので、紫さんに『個人の運勢の干渉を受けない』術をかけてもらいました。」
咲夜 「随分都合のいい術もあったものね…それじゃあ早苗も帰ってきたし、早速探索者作成をしてみましょうか。早苗は継続にする?」
早苗 「…いえ、今回は新規で行きたいと思います。」
咲夜 「分かったわ。そうそう、今回はハウスルールで、得意技能として成功値75の技能を1つ、それ以外の技能の上限は70までとするわ。極振りしすぎて失敗の緊張感がなくなっても面白くないからね。」
少女作成中…
探索者紹介
霊魔早 「できた(できました)!」
咲夜 「オーケー、それじゃあ早速、霊夢から見せてちょうだい。」
博山来夢 ひろやまらいむ
職業 私立探偵 年齢 25歳
STR 12 CON 8 POW 14 DEX 8 APP 4 SIZ 17 INT 14 EDU 18
SAN値 70/99 不定領域 56 HP 13 MP 14 DB +1D4
アイデア 70 幸運 70 知識 90
職業技能
鍵開け 51 聞き耳 70 追跡 65 目星 75 言いくるめ 70 心理学 60 法律 45
趣味技能
回避 56 キック 70 応急手当 65 跳躍 45
霊夢 「博山来夢(ひろやまらいむ)、私立探偵よ。ちなみに今回は三人で相談して探索者の名前は私たちの名前の捩りにしてあるわ。得意技能は目星ね。」
咲夜 「探偵の割に図書館は持ってないのね。足で情報を稼ぐタイプかしら。」
霊夢 「そんなところね。ダメージボーナスがもらえたから、キックと回避にも振って戦闘要員として使えるようにもしたわ。」
咲夜 (まぁ今回のシナリオは戦闘はよっぽどのことがなければ起きないのだけれど、継続で別のシナリオをやるかもしれないから言わないでおきましょう。)
霧島亜里沙 きりしまありさ
職業 新聞記者 年齢 25歳
STR 9 CON 13 POW 15 DEX 6 APP 11 SIZ 11 INT 17 EDU 8
SAN値 75/99 不定領域 60 HP 12 MP 15 DB +0
アイデア 85 幸運 75 知識 40
職業技能
写真術 20 図書館 75 説得 55 心理学 65
趣味技能
聞き耳 65 精神分析 31 目星 60 オカルト 50 歴史 50
魔理沙 「霧島亜里沙(きりしまありさ)、新聞記者だ。得意技能は図書館だな。」
咲夜 「STRとEDUが悲惨ね。霊夢のを見た後だと技能値も悲惨に見えるわ。」
魔理沙 「そこは言わないで欲しいな…。SAN値はこの三人の中で一番高くなった。あとは面白そうだからオカルトにも振ったぜ。」
咲夜 (せっかくだし、設定生やしてオカルト新聞社にしちゃいましょう。)
早苗 (あ、これは変な設定生やそうと考えてる時の諏訪子様と同じ顔だ。)
一谷早織 いちやさおり
職業 医者 年齢 25歳
STR 11 CON 8 POW 12 DEX 4 APP 10 SIZ 8 INT 16 EDU 12
SAN値 60/99 不定領域 48 HP 8 MP 12 DB +0
アイデア 80 幸運 60 知識 60
職業技能
精神分析 42 医学 75 生物学 61 薬学 70
趣味技能
図書館 70 目星 70 運転(自動車) 55 機械修理 55
早苗 「一谷早織(いちやさおり)、医者です。得意技能は医学ですね。」
咲夜 「魔理沙よりEDUは高いけど、初期値が低い技能が多いから技能値は似たり寄ったりになってるわね。」
早苗 「一応フレーバーで運転にも振ってきましたけど、カーチェイスがあるシナリオですか?」
咲夜 「いえ、ないわね。今回はクローズドシナリオよ。ちなみに三人の探索者は知り合い?」
魔理沙 「その方が都合がいいなら、私はそうしてもいいが。」
早苗 「そうですね、大学の同級生…は私の探索者が理系、魔理沙さんの探索者が文系で難しいでしょうし。」
霊夢 「えーそんなの、家が近所の昔からの幼馴染とかでいいでしょ、別に本筋じゃないんだし。」
早苗 「それもそうですね。魔理沙さんもそれでいいですか?」
魔理沙 「確かにそれで十分だな。」
咲夜 「それで始めちゃいましょう。それではクトゥルフ神話TRPG、泥紳士様作『毒入りスープ』始めていきましょうか。」
セッション開始
咲夜 「探索者達は何でもない平凡な日々を送る中、ある日の夜に突然目を覚ますわ。
目を覚ますとそこは、壁も床もコンクリートで出来た四方に扉のある正方形の部屋。
この時点での貴方達は丸腰で、着ている衣類は全て白いローブのようなぼろきれで、他には何もない。
財布やケータイなどは勿論、普段身につけているアクセサリーなどもないわよ。」
博山 『うーん、はっ、ここは…?』
咲夜 「天井の薄暗い豆電球だけが部屋を照らしていて、真ん中には古い木製の長机と椅子が一つあるわ。
更に机の上には木製の器に入った、赤い無臭のスープが一つ。
そして椅子の上には、古い紙切れが二つ落ちているのが目星なしでもわかるでしょう。」
霧島 『来夢に早織じゃないか、それにここは一体…』
一谷 『ゆ、誘拐ですか!?』
博山 『あら、二人とも居たのね。…この紙は誘拐犯からのメッセージかしら。』
霊夢 「椅子の上の紙を手に取るわ。」
咲夜 「分かったわ。片方の紙にはこう書かれているわね。
『〜帰りたいなら 一時間以内に 毒入りスープを飲め。
飲むまでは 君達じゃあここから 出られない。
一時間以内に 飲めなかったら お迎えが来るぞ〜』
もう一つにはこの部屋の地図のようなものが書いてあるわね。
今いる部屋は『スープの部屋』、北の部屋は『調理室』、南の部屋は『礼拝室』、西の部屋は『書物庫』、東の部屋は『下僕の部屋』と記されているわ。」
早苗 「なるほど…。霊夢さん、私たちの探索者にもその紙を見せていただけますか?」
霊夢 「ん?どういうこと?一緒に聞いてるじゃない。」
早苗 「探索者は私たちの分身ですが、『私たちの探索者が知っていること』と『私たちが知っていること』は厳密には異なります。
今で言えば、私と魔理沙さんは霊夢さんと同時に咲夜さんから紙の内容を聞いていますが、霧島亜里沙と一谷早織はまだその紙を見ていないため、内容を知らないわけです。」
魔理沙 「ああなるほど、この遊びは『成り切ること』を主眼に置いているから、探索者が何を知っていて、どう考えるかが重要になるわけか。」
霊夢 「分かったわ、博山来夢は二人に二枚の紙を見せるわね。」
博山 『…二人とも、これを見て。』
霧島 『毒入りスープだって!?』
一谷 『こっちは地図ですか…。この部屋は四方に扉があるので、真ん中のスープの部屋と見て間違い無いでしょうね。ただ、どっちが北なのかはわかりませんが…。』
咲夜 「ちなみに四つの扉は正面から時計回りに、錆びた鉄の扉、小窓付きの大きな鉄扉、綺麗な木製の扉、真っ白な押し扉よ。」
魔理沙 「…なあ、紙は片方がメッセージ、もう片方が地図なんだよな?裏には何も書いてないのか?扉の種類とか…。」
咲夜 「それに気づくのはいいわね。まず、地図の裏には何も書いていないわ。だけど、文章の裏には何か書かれている。全員で読む?」
魔理沙 「どうする?」
霊夢 「読みたいわ。」
早苗 「読みたいです。」
魔理沙 「じゃあ全員で。」
咲夜 「裏には『〜暖かい 人間の 血の スープ 冷めない 内に 召し上がれ〜』と書いてあるわ。」
霊魔早 「…。」
咲夜 「どうかした?」
霊夢 「まあ、普段から血の紅茶とか淹れてる人は何も思わないわよね。」
魔理沙 「幻想郷じゃよくあることだが、気分は良くないな。」
早苗 「クトゥルフだし、赤いスープって聞いた時点でそんな気はしてましたが、やっぱり嫌なものは嫌ですよね。」
咲夜 「こういうシナリオなんだから仕方ないじゃない。じゃあ霊夢と魔理沙は《アイデア》、早苗は《医学》を振ってみてくれる?」
《アイデア》
博山 70>62 成功
霧島 85<99 ファンブル
《医学》
一谷 75>61 成功
魔理沙 「えぇ…。」
咲夜 「魔理沙、大丈夫。ここは失敗した方がいいやつだから。博山は直感的に、一谷は医学的知識から、部屋の真ん中にある赤いスープは人間の血で作られたスープであるという事が事実であるように思えるわ。
途端に鉄錆に似た悪臭がスープから込みあがるのを感じるけれど、霧島は実際に教えてもらわない限りはこの臭いを感じ取らない…と言いたいところだけど、ファンブルだから教えて貰っても全く何も感じないわ。
博山と一谷は0/1d4のSANチェックよ!」
《SANチェック》
博山 70>44 成功 減少なし
70→70
一谷 60<85 失敗 2減少
60→58
一谷 『きゃあっ!』
霧島 『早織、どうした?』
一谷 『スープから血の匂いが…。』
霧島 『…そうか?私は感じないが。』
博山 『鼻詰まってんじゃないの?…さっきまでしなかったのに、紙を読んだら匂いがしてきたのは違和感があるけど。』
一谷 『とりあえず、このスープが人間の血でできているのは、間違い無いと思います。』
霧島 『よく分からないが…誘拐犯も悪趣味なことしやがるな。』
西の部屋
(開始時点から10分経過)
咲夜 「他になにか調べたいことはあるかしら。」
霊夢 「この部屋にはもう何も無さそうだし、別の部屋も見てみたいわね。」
早苗 「部屋の内容がひとつでも分かれば、残りの部屋も並びから分かりますもんね。」
魔理沙 「とりあえず適当に…木製の扉を開けるぞ。情報のありそうな書庫が鉄扉とも考えにくいしな。」
咲夜 「…本に関することとなると勘がいいのね。綺麗な木製の扉は鍵などはかかっておらず、難なく開けることが可能よ。部屋の中央には四つ足の古い机があり、その上にあるキャンドル皿に乗せられた蝋燭がうっすらと部屋を照らしているわ。四隅には本がいっぱいに敷き詰められた本棚があるわよ。この書物庫の本は、日本語で書かれているから、探索者達は手軽に文章を読むことができるわ。」
霧島 『多分書物庫は…この部屋だな。』
一谷 『おぉ、亜里沙さん凄いです!』
博山 『普段から十七夜(かなぎ)のとこの書斎に入り浸ってるものね。たまには本返しときなさいよ。』
霧島 『余計なお世話だ!』
咲夜 「突然私と思しきNPCが生えた。よくある事だけど。」
早苗 「これもTRPGの醍醐味って感じですね。」
霊夢 「何となくノリででっち上げたけど、別にいいのね。とりあえず全員で本棚を調べましょうか。」
咲夜 「分かったわ。役に立ちそうな本を見つけるなら《図書館》よ。博山は初期値の25で振って頂戴。」
《図書館》
博山 25>16 成功
霧島 75>20 成功
一谷 70>52 成功
咲夜 「全員成功ね。なら三人は短時間で、ベッタリと湿っている黒い本を見つけるわ。表紙に粘着性のある液体がこびり着いている感じよ。」
霊夢 「えぇ、気持ち悪…。」
早苗 「《薬学》で何か分かりますか?」
咲夜 「成功すれば分かるわよ。」
《薬学》
一谷 70<75 失敗
咲夜 「何も分からないということが分かるわね!」
早苗 「orz」
霊夢 「ちょっと早苗、何も言わずに突っ伏さないで。気にしてないから。」
魔理沙 「サイコロを振る以上、よくある事だな。」
咲夜 「…とりあえず本の内容行くわよ。タイトルは『スープの夢について』ね。
『中央の部屋・・・ちゃんとしたスープを飲まないと出られない。メモの裏にはスープの正体が記されている。
北の部屋・・・調味料や食器が沢山置いてある。ちょっとだけ予備のスープが鍋にある。
東の部屋・・・とっても良い子が待っている。いいものを持ってるよ。
西の部屋・・・本はとっても大事だから持ち出したら駄目。ろうそくはもってける。
南の部屋・・・神様が眠っている。毒の資料がある。番人は活きのいいものを食べなきゃいなくならない。
大事な事・・・死ぬ覚悟をして飲むように。』と書かれているわ。」
博山 『とりあえずこの本から分かることは、調理室に食器と予備のスープ、下僕の部屋に他の誰か、ここの本は持ち出し禁止だけど蝋燭はOK、礼拝堂には資料があるけど番人を餌付けしなきゃ行けないと。』
一谷 『とっても良い子…。私たちと同じように攫われたのでしょうか。』
霧島 『ここが書物庫なら、白の扉が調理室、窓付きの鉄扉が礼拝堂、錆びた鉄扉が下僕の部屋か。この本と蝋燭は役立ちそうだし持ってくか。』
霊早咲 「!?」
咲夜 (霊夢の戦闘技能、腐ると思ってたけど、まさか使うことになる?)
魔理沙 「貰っておけるものは貰っておいた方がいいだろ。」
早苗 「あの、魔理沙さん、聞いてました?持ち出し禁止…。」
魔理沙 「本の表紙の粘液がただの悪趣味な飾りとも考えにくい。使う機会はあるんじゃないか?」
霊夢 「…確かに。それに誘拐犯側が怒って出てきてくれるなら蹴り倒して尋問できるわね。」
早苗 「どう見てもトラップじゃ無いですか!?」
咲夜 「面白いから許可するわ。それに早苗、こういう経験もして人はTRPGに慣れていくものよ。ちなみに蝋燭が重くて、一人で蝋燭と本の両方は持てないけど、誰が何を持つ?」
早苗 「それでは私が蝋燭を。」
魔理沙 「私が本を持つぜ。」
VS:本の番人
(開始時点から20分経過)
咲夜 「それじゃあ描写するわよ。霧島が本を持って書物庫を出た瞬間、書物庫の扉が何度も開いたり閉じたりを繰り返すように動き出し、急に扉が溶け始めるわ。そして不定形の黒いスライムのような物体となって襲いかかってくる…。この光景を見た探索者達は1/1d10のSANチェックよ!」
早苗 「やっぱりー!」
《SANチェック》
博山 70>21 成功 1減少
70→69
霧島 75>59 成功 1減少
75→74
一谷 58>14 成功 1減少
58→57
早苗 「着実に削れていってる…。」
咲夜 「このスライムのDEXからすると…行動順はスライム→博山→霧島→一谷ね。戦闘開始よ!」
<怪物のターン>
咲夜 「怪物は本を持っている霧島に噛みつこうとするわ。」
《噛みつき》
怪物 ??>13
魔理沙 「回避!」
《回避》
霧島 12<30 失敗
咲夜 「霧島は怪物に噛みつかれ、飲み込まれそうになるわ。毎ターンの終わりに締め付けで1のダメージね。本はどうする?」
魔理沙 「来夢に投げるぜ!」
咲夜 (あーあ、離しちゃうのね。)「次は博山のターンよ。」
怪物 (モゾモゾ、バッ!)
霧島 『ひゃあっ!くっ、来夢、これを受け取れ!』
<博山のターン>
霊夢 「怪物に《キック》よ!」
《キック》
博山 70>32 成功
ダメージ 1d6+1d4=6
咲夜 「それじゃあ博山は、一谷相手なら気絶を免れないレベルの勢いで怪物を蹴り飛ばそうとするわ。だけど何かに衝撃を殺されたかのように、手応えを全く感じないわね。」
霊夢 「『何か』っていうか、十中八九、体が衝撃を受けつけてないわよね…。」
早苗 「スライムですからね…。」
咲夜 「さぁどうかしら。霧島は拘束されて動けないから飛ばして、次は一谷のターンよ。」
博山 『亜里沙を放しなさい!…全く手応えがない!?』
怪物 (モゾモゾ)
<一谷のターン>
早苗 「じゃあ…霊夢さんから本を受け取って戻すことはできますか?」
咲夜 「受け取るのに1ターン使うからおすすめしないわね。」
早苗 「じゃあ敵に《アイデア》を振って情報出ませんか?」
咲夜 「成功したら出すわね。」
《アイデア》
一谷 80>79 成功
咲夜 「じゃあ一谷は、怪物が真っ先に霧島を襲ったことから、怪物が本を狙っているとわかるわね。」
一谷 『怪物は本を狙ってる…?来夢さん、本を返しましょう!』
咲夜 「それじゃあ霧島は拘束ダメージを受けるわね。そのあとまた怪物のターンよ。」
霧島 HP 12→11
<怪物のターン>
咲夜 「怪物は本を持っている博山に噛みつこうとするわ。」
《噛みつき》
怪物 ??>12
霊夢 「回避!」
《回避》
博山 56>38 成功
咲夜 「怪物の攻撃は虚しく空を切るわ。」
霊夢 「ついでに怪物に本を投げることはできる?」
咲夜 「あら。回避直後だけど怪物は目と鼻の先に居るから…投擲の初期値の半分、13で振って頂戴。外しても注意は引けるものとするわ。」
《投擲》÷2
博山 13>04 クリティカル
咲夜 「…あー、怪物が本を飲み込んだわ。本来はここでPOT対抗なのだけれど、クリティカルだから…。」
早苗 「え?POTって、この本、毒なんですか!?」
咲夜 (口が滑った…。)
霊夢 「私は単に本に気を取らせてヘイトを切ろうとしただけなんだけど…。」
咲夜 「…とにかく、怪物は身悶えると、魔理沙と本を吐き出して、縮んで動かなくなるわ。戦闘終了よ。」
博山 『そんなに欲しいなら、くれてやるわ!食らいなさい!』
怪物 (バクッ!…ビクン!オエッ!シュルシュルシュル…。)
霧島 『ううっ…。来夢、早織、ありがとうな。』
一谷 『今の怪物の感じ…この本、まさか毒物?』
東の部屋
(開始時点から22分経過)
咲夜 「えーと、次はどうしたい?」
霊夢 「下僕の部屋に多分他に閉じ込められている子がいるのよね?錆びた鉄扉を開けるわ。」
咲夜 「わかったわ。錆びた鉄扉は鍵が掛かっているけど、STR5との対抗ロールに成功すればこじ開けられるわね。」
早苗 「二人以上でやればどの組み合わせでも自動成功ですね。加勢します。」
博山 『確かこの部屋に他に人がいるって…鍵がかかってるのかしら。早織ー、ちょっと手伝ってくれる?』
一谷 『はいはーい!』
咲夜 「中には灯りが全くなく、更に中央の部屋の豆電球の光は届かないわ。でも一谷が蝋燭を持っているから、最低限の明るさはあるわね。ここで全員《聞き耳》を振ってくれる?」
《聞き耳》
博山 70<89 失敗
霧島 25<46 失敗
一谷 25<35 失敗
霊夢 「あ…。」
魔理沙 「全員失敗か。っていうか霊夢初失敗じゃないか?」
咲夜 「まあここは失敗しても問題ないのだけれど、部屋の奥から十代後半くらいのやつれた女の子が歩いてくるわ。虚ろな目をしたアルビノの女の子で、探索者達と同じ白いローブを着ているけど、ローブは血に塗れていて片手には拳銃を握っているわ。」
一谷 『あれ、この子は…って、きゃっ、血?銃?』
博山 『あんた職業柄、血なんて見慣れてるでしょうに。』
霧島 『お前大丈夫か?今までずっとこの部屋にいたなら怖かったろうに。』
少女 (大丈夫だと示すように頷く)
霧島 『…話せないのか。少々不便だな。』
魔理沙 「それじゃあ女の子を中央の部屋に招き入れて、次は調理室、白い押し扉をあけるぜ。」
咲夜 「あら、この部屋はもう調べないのね。」
魔理沙 「時間が惜しいからな。」
早苗 (時間が惜しい理由は魔理沙さんが戦闘を発生させたせいですけどね。)
咲夜 (折角のSANチェックが…。)
霧島 『ほら、こっちだ。私たちは気がついたらこの部屋にいてな、脱出法を探してたんだ。』
北の部屋
(開始時点から27分経過)
咲夜 「調理室の描写をするわね。この部屋はとても綺麗な印象を受け、食器棚や調理台、ガスコンロや洗い場など様々なものがあるわ。部屋は幾つもの豆電球が設置されていて、真昼のようにずっと明るいわよ。ガスコンロの上には蓋をしてある大きな鍋が置いてあるのが目星なしでもわかるでしょう。」
霊夢 「調べられるのは、食器棚、調理台、ガスコンロ、洗い場かしら?私は調理台を調べるわ。」
魔理沙 「じゃあ私はコンロを。」
早苗 「私は洗い場を調べます。そのあと三人で食器棚を見ましょう。」
咲夜 「まずは霊夢ね。調理台にはまな板や包丁などの調理器具が乱雑に置かれているわ。脱出につながりそうなものを見つけたいなら《目星》をお願い。」
《目星》
博山 75>62 成功
咲夜 「じゃあ博山は、乱雑に積まれた調理器具の中に小さなメモ用紙があるのを見つけるわ。そこには、『大切な 調味料は 現在 在庫切れ』と書かれているわね。」
博山 『在庫切れ…。調味料ってのは、毒の事かしら。』
咲夜 「次は魔理沙ね。コンロには蓋の閉まった鍋しかないわ。」
魔理沙 「火は点かないのか?」
咲夜 「点かないわね。」
魔理沙 「じゃあ開けてみるぜ。確かこの部屋に予備のスープがあるんだったな。」
咲夜 「霧島は予備のスープを探して、コンロの上の鍋を開けるわ。するとそこにあったのは、無惨に切り開かれたバラバラ死体。そこに血が溜まっているのもわかるわ。1/1d6ののSANチェックよ!」
《SANチェック》
霧島 74<100 失敗 2減少
74→72
咲夜 「ちなみにSANチェックにファンブルは適用されないから安心して頂戴。」
霧島 『ぎゃっ、死体?』
咲夜 「そして早苗。洗い場は、本当に普通の流し台よ。」
早苗 「水は出ませんか?」
咲夜 「出るわよ。ちなみに試してる間に霧島の驚いたような声が聞こえるわ。」
一谷 『亜里沙さん、どうしました?』
霧島 『い、いや、何でもない。とにかく鍋の中は見るんじゃない。』
一谷 『あ。(察し)』
博山 『二人とも見て頂戴、こんなメモを見つけたわ。』
一谷 『…調味料?』
博山 『恐らく毒物ね。本にはちゃんとしたスープと書かれていたわ。わざわざ強調するあたり、今のスープには毒が入っていないのかも。』
咲夜 「最後に全員で食器棚に注目してみると、全ての食器が銀色である事に気付くわ。魔理沙は《歴史》、早苗は《薬学》を降って頂戴。」
《歴史》
霧島 50<84 失敗
《薬学》
一谷 70>23 成功
咲夜 「それじゃあ一谷は、銀は毒薬に多用された硫化ヒ素と化合すると黒ずむ事から貴族の毒味に用いられてた事を知っているでしょう。」
一谷 『銀食器ですか、確か銀は毒に触れると黒くなるので、毒味のために貴族に広く使われていたと聞いたことがあります。』
霧島 『そういえばそんな話もあったな。私は思い出せなかったが。』
博山 『ちょっとスープに漬けてみたいわね。一枚持っていきましょう。』
南の部屋
(開始時点から37分経過)
霊夢 「一枚持って部屋を出るわ。」
魔理沙 「礼拝堂は…確か窓付きの鉄扉だったか。」
早苗 「窓が付いてるなら入る前に覗いてみましょう。」
咲夜 「分かったわ。全員で見る?」
魔理沙 「私も見たいな。」
霊夢 「それでお願い。」
咲夜 「探索者たちが小窓から中を確認すると、ぼんやりと青白い部屋の中に一枚だけの翼を持った巨大なクサリヘビのような怪物の姿を確認するでしょう。この怪物を目撃した探索者たちは0/1d10のSANチェックね。」
早苗 「え、待って、9削れたら私不定の狂気じゃないですか。」
《SANチェック》
博山 69<92 失敗 5減少
69→64
霧島 72<96 失敗 1減少
72→71
一谷 57<100 失敗 5減少
57→52
咲夜 「あら、博山と一谷は5減ったわね。」
早苗 「…でも、一時的狂気なら《アイデア》を失敗すれば何とか…。」
《アイデア》
博山 70>36 成功
一谷 80>18 成功
霊早 「orz」
魔理沙 「二人とも無言で突っ伏さないでくれ」
咲夜 「大人しく1d10で一時的狂気を決めなさい。」
博山 →2 パニック状態で逃走
持続時間:4+4=8ラウンド(1分36秒)
一谷 →10 昏迷あるいは緊張症
持続時間:6+4=10ラウンド(2分)
霊夢 「えーと、こっちがパニックになってスープの部屋を走り回って」
早苗 「こちらは自発的な行動ができなくなると…。殺人癖引かなかっただけまだマシですね。」
魔理沙 「二人に《精神分析》を試みるぜ。」
《精神分析》
霧島 31<86 失敗(対博山)
霧島 31<48 失敗(対一谷)
咲夜 「両方失敗よ。ちなみに少女はそもそも覗き窓に顔が届いてないわ。」
博山 『ぎゃー!』
一谷 『はあっ…。』(ヘナヘナッ)
霧島 『おい二人とも、落ち着け、子供の前だぞ?…落ち着くまで待つしかないか。お前は見ないでよかったな。』
少女 (静かに頷く)
中央の部屋
(2分後、開始時点から40分経過)
博山 『私としたことが…。』
一谷 『お騒がせしました。』
霧島 『こうなると礼拝堂は調べないほうがいいな。そういや来夢、皿は割れてないか?』
博山 『金属製よ、そう簡単に割れはしないわ。曲がりはするけど…今回は大丈夫みたい。』
霊夢 「スープに漬けてみるわ。」
咲夜 「色は変わらないわね。ここで《目星》。」
《目星》
博山 75<77 失敗
咲夜 (え、ここの失敗は普通に困るわ。どうしましょう。)
早苗 「…待ってください。確か本をスライムに飲み込ませた時、毒物だとわかりましたよね?霊夢さんは真っ先に本を読んで、戦闘中に本を受け取って手に粘液がついているはずですが、食器の持っている部分はどうなってます?」
咲夜 (GJよ早苗!)「博山の手から粘液がついた部分は、銀食器が黒ずんでいるのがわかるわ。」
博山 『…色が変わらないわね、やっぱり毒が入ってないのかしら。』
一谷 『あ、来夢さん、粘液のついた部分が…。』
霧島 『黒くなっているな。とすると本についていた粘液が?』
博山 『求めている調味料…毒かもしれないわね。』
霊夢 「本を拾ってスープに粘液を入れるわ!」
咲夜 「拾って…ああ、スライムが吐き出した後放置だったわね。スープには問題なく入れられていいわよ。それで、飲むの?」
霊夢 「他に手がかりもないしね。」
早苗 「そろそろタイムオーバーが怖いです。」
魔理沙 「女の子に勧めることはできるか?この子も脱出させたい。」
咲夜 「少女は嫌々ではあるけど、問題なくスープを一口飲むわよ。そして貴方達も続けて回し飲みするけど…。」
魔理沙 「けど?」
霊夢 「まさか…」
咲夜 「スープの鉄のような匂いとドロリとした気味の悪い感触に、これが血のスープであることを嫌でも実感させられるわ。先程は何も感じなかった霧島も、口の中に含んだことでその匂いを感じられるわよ。1/1d6、最後のSANチェックよ!」
魔理沙 「忘れてた!」
早苗 「いやー、ほぼ確実に不定になるー!」
霊夢 「私は…よかった、最大値引いても大丈夫ね。」
《SANチェック》
博山 64>43 成功 1減少
64→63
霧島 71<74 失敗 3減少
71→68
一谷 52>33 成功 1減少
52→51
咲夜 「さらにPOT25との対抗ロールをお願い。」
早苗 「でかっ、全員自動失敗ですよ!」
咲夜 「…そう、なら、探索者達は少しずつ視界が歪み、呼吸と心拍が激しくなっていくわ。そして意識が途切れる直前、視界は真っ白に染まり上がり、最後に吠えるような声で『勇敢なる者よ!現へと還るがいい!』と言う声が響いてくるわ。」
咲夜 「次に目を覚ました時、探索者達は昨夜眠っていた場所で目を覚まし、無事朝を迎えるわ。あの妙な部屋は何処にもなく、探索者達が夢の中で負った怪我は全て消えていて、何事もなく現実で再会するわよ。
あの奇妙な夢はなんだったのか…シナリオクリアよ。」
感想戦
早苗 「生還エンドですか?やったー!今回新規探索者でしたけど、既存探索者が割とロストしてて、継続できるのがいなかったんですよ。」
咲夜 「クリア報酬として、SAN値を1d10回復。少女も生還したから追加で1d6、スープを飲む決断をしたからさらに追加で5回復してちょうだい。」
博山 7+1+5=13回復
63→76
霧島 7+3+5=15回復
68→83
一谷 7+4+5=16回復
51→67
咲夜 「そして、博山と一谷は初発狂で、《クトゥルフ神話》技能を5%プレゼントよ。」
霊夢 「まぁ、楽しかったわ。思っていた以上にね。」
魔理沙 「私も楽しかったぜ。ところであの女の子はなんだったんだ?」
咲夜 「さぁ、現実には存在しない邪神が作った探索者達を惑わせるための仮想の存在かもしれないし、どこかで実在するかもしれないわ。それを探索者達が知る術はないわね。」
霊夢 「…邪神?」
咲夜 「ああ、今回の出来事は『チャウグナー・ホーン』という邪神が気まぐれで構築した夢の世界での出来事なの。」
早苗 「ちなみにクトゥルフ神話TRPGに出てくる神様達は、殆どが気まぐれで、人の世界に事件を起こすのが好きな性格をしてるんですよ。」
霊夢 「幻想郷の神様達と変わらないわね。」
魔理沙 「言えてるな。」
霊夢 「また今度、機会があったらみんなでやりましょうよ。」
魔理沙 「そうだな、妖夢や小鈴を誘ってもいいかもしれないな。」
筆者より
ご読了ありがとうございました。
今日の分は二次小説形式の記事にしてみました。
明日の筆者は冴月麟さんです。お楽しみにお待ちください。