多くの方はご存知でしょうが、Discordには「カスタム絵文字」なる機能があり、サーバー内で使える独自の絵文字を設定することができます。東大幻想郷では日々の交流や会議、事務連絡などのためのツールとして、主にDiscordを用いておりまして、弊サークルのDiscordサーバーでも部員が好き勝手に作った様々なオリジナル絵文字が活用されています。実は筆者も幾つかカスタム絵文字を制作しておりまして、ここではカスタム絵文字の作り方や制作時に意識したことを少し述べさせていただきます。SlackやNotionなど、カスタム絵文字が使えるコミュニケーションツールは他にもありますので、Discordをお使いでない方にとっても何かの機会に役立つかもしれません。よろしければお付き合いください。
何の絵文字を作るか決める
絵文字を作る目的は主に二つに分けられると思います。
一つ目はデフォルトの絵文字をオリジナルの絵文字で置き換えることです。どこでも見かけるような絵文字の代わりに独自の表現を使うことで何処か気の抜けたような感じが出る上に、サーバーの「内輪らしさ」が出て笑いや連帯感を生み出すことができます。例えば大学生であれば「いいね」の代わりに「優」「優上」(あるいは「秀」や「A+」など)を使うのはよくあることでしょう。
二つ目はデフォルトの絵文字では表せないことを表すことです。例えば「ありがとう」と絵文字で伝える際、デフォルトの絵文字を使うのであれば、精々サムズアップや手を合わせるジェスチャーを使うのが限界でしょう。絵文字で誤解が生じる場面というのはあまり目にしたことがありませんが、折角何かを伝えるのであれば、正確に伝えるに越したことはありません。
これを踏まえて早速カスタム絵文字を作っていきましょう。
まずはどのような絵文字に需要があるかを調べましょう。当たり前のことを言うようですが、使われない絵文字を作っても意味がありません。直近に使われた絵文字や何かにリアクションする短文コメントを調べてみましょう。東大幻想郷のDiscordサーバーでの例を幾つか抜き出してみると
・「ありがとう」
・「その通り」
・「興味あり」
・「可愛い」
・「お大事に」
などといったところでしょうか。例えば「お大事に」をデフォルトの絵文字で表すのは難しそうです。そこで仮に「お大事に」を表す絵文字を作ることを考えてみます。しかし単に「お大事に」と書いた絵文字を作るだけでは芸がないので、サーバーの個性を出しましょう。東大幻想郷は東方Projectを愛好するサークルですから、ここは東方Project作中の名言などを典拠とします。少し考えてみてドレミー・スイートの台詞「強く生きて……」が一番よく当てはまると感じたので、これを採用することとします。
絵文字をデザインする
絵文字の内容を決めたら制作に移ります。Discordでは128px×128pxのサイズの画像を使うことが推奨されていますので、お絵かきソフトなどにその大きさでキャンバスを作成しましょう(文字だけを使うのであれば、適当なwebアプリを使うのも手軽です)。とはいったものの、実際の使用場面ではリアクションなど非常に小さいサイズで表示されることも少なくありません(むしろ縮小表示される場面の方が多いでしょう)から、縮小されたときの可視性を考えてデザインを決めなければなりません。例えば文字を載せるならば極力短くするべきであり、また文字数が多いときは複雑な漢字を避けるべきです。今回の「強く生きて……」の例では、三点リーダーが二つ並んでいると長すぎたので、一つ削って「強く生きて…」と記すことにしました。全部削ると雰囲気がなくなってしまうので、そこは上手くバランスをとります。禁則などはあまり気にせず自分の感性を信じてすっきりとまとめあげましょう。
文字などの配置が定まったら次はさらに可読性を上げる工夫を考えましょう。Discordにはライトモードとダークモードが実装されているので、暗い色や明るい色を使う際はどちらのモードでも読みやすいように注意しましょう。最も単純な解決方法は背景をつけることです。ただし背景の彩度が高いと毒々しい印象になり、また明度のコントラストがついていないと可視性を損なうので気をつけましょう。他には縁取りをつけるのも良いでしょう。ライトモードにせよダークモードにせよ、基本的に画面の彩度は低いので、縁取りの彩度を高めにしてやると見やすくなると思います。そして縁取られる中身とのコントラストをしっかりとつけてやると読みやすいでしょう。
確認作業
デザインが出来たら確認作業をします。Discordのサーバー設定の「絵文字」の項目から画像をアップロードしましょう。大きなサイズでの見え方は特に確認する必要はないかと思いますが、リアクションとして使ったときの縮小された見え方は必ず確認しておきましょう。スマホの画面での見え方も確認しておくと安心です。また、なるべくユーザー設定の「テーマ」からテーマを変更してライトモードとダークモードの両方での見え方も見ておきましょう。もし不備があれば修正して、古いものを削除してから新しいものをアップロードし直しましょう。参加者が多いサーバーでこのような作業をするのは億劫だ、という方は個人で一人用サーバーを立てそこで好きなだけ実験すると良いでしょう。余談ですが、一人用サーバーを作ると長文メッセージの草稿や読みたい本のメモなどを手軽に作成・管理できて便利なのでお勧めです。
十分に確認が取れたら完成です。告知を流したり、自分で使ったりするなどして新しい絵文字の存在を知らしめましょう。自分の作った絵文字が多くの人に使われると結構嬉しいので、興味のある方はぜひ作ってみてください。ただし(執筆時点で)カスタム絵文字は、Discordではサーバー1つにつき50個までしか制作することはできません。課金をすれば上限が増え、また他のサーバーでも同じ絵文字を使うことができるという特典があるらしいのですが、東大幻想郷でも誰かやってくれませんかね。
跋文
最後までご覧いただきありがとうございました。今回の記事は主に文章や単語を一つの絵文字にまとめて扱いやすくしたものに焦点を当てていましたが、それ以外についても考えることは概ね同様です。知識がないなりにつらつらと語らせていただきましたが、今後はデザインや色彩についても勉強していければと思います。最後の最後になりますが、本稿は東大幻想郷アドベントカレンダー企画の一部です。他の部員も色々と記事を書いておりますので、未だご覧になっていない方は是非そちらの方もよろしくお願いいたします。
おまけ
早めのクリスマスプレゼントというわけではないのですが、ささやかながら拙作を一部配布したいと思います。よろしければ、使いたい画像を右クリックして「名前を付けて画像を保存」した上で、ご自身のDiscordサーバーにアップロードしていただければご使用頂けますのでお気軽にどうぞ。申し訳ないのですが、Discordなどのコミュニケーションツール以外の場所で再アップロードすることと、作成元を偽ることだけはご遠慮願います。